2021 年 59 巻 11 号 p. 925-932
劣化のメカニズムを解明するために,これまでにもSEM-EDXやX線回折,EPMAなどを用いた検討も多く行われているが,劣化のメカニズムには明らかになっていない点も多い。著者らは,これらの分析に加えて,ラマン分光分析に着目した検討も行っている。本報告では,ラマン分光分析の原理について解説するとともに,金属材料である鉄の腐食生成物や無機系材料である骨材などの評価にラマン分光分析を適用した事例を紹介することとする。さらに,有機系の表面被覆材が劣化すると蛍光物質が増加する現象を利用して,ラマン分光分析を用いた劣化指標を提案しており,こちらについても併せて紹介することとする。