本稿では,コンクリート構造物の耐久性確保および長寿命化実現を目的として開発した,バクテリアの代謝活動でコンクリートのひび割れを自己治癒する技術を紹介するものである。この技術は,コンクリート製造時にBacillus属の特殊バクテリアと餌の元となるポリ乳酸で構成された自己治癒材を混入して,硬化後にコンクリートにひび割れが発生した時,バクテリアが餌を分解し析出した炭酸カルシウムで,最大幅1 mmのひび割れを閉塞することができる。また,本技術のサステナビリティ効果を,社会的側面・経済的側面・環境的側面の3要素からも評価した。その結果,本技術は,サステナブル社会の構築にインフラ・建築物の建設資材として大きく貢献できることが分かった。