コンクリート工学
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締固め不要コンクリートの可能性と課題
岡村 甫小沢 一雅
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1992 年 30 巻 2 号 p. 5-14

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抄録
締固め不要コンクリートは, コンクリート構造物の信頼性を向上させるだけでなく, コンクリート施工の省人化および合理化等が図れ, コンクリート工事の近代化に大いに貢献できる材料として, 注目を集めている。ここでは, この締固め不要コンクリートの開発に至る経緯から将来の可能性ならびに実用化への課題についてまとめてみた。締固め不要コンクリートは, コンクリート打設作業における施工の良否の影響を受けない材料を目標として開発され, 1988年8月東京大学土木工学科コンクリート研究室で, そのプロトタイプ第1号が完成している。締固め不要の実現は, 使用する材料に応じた配 (調) 合設計法にあり, 構造物ごとに要求される耐久性能に応じた材料設計システムと充填性にもとつく配合設計体系の確立が待たれるところである。さらに, 実用化の課題としては, 締固め不要コンクリートに適したセメントの品質規格の制定や生コンクリート製造工場での製造管理システムの開発ならびに施工現場における合理化の促進が挙げられる。これらの問題を解決し, コンクリート工事の近代化を進めるとともに, コンクリート技術が高く評価される社会を実現したいと考えている。
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© 公益社団法人 日本コンクリート工学会
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