2016 年 13 巻 2 号 p. 47-
電子と多価イオンの衝突過程は,高温プラズマ中素過程の中で最も基本的かつ重要なものであり研究の歴史も比較的長いが,近年でも衝突物理的に興味深い話題を提供している.その一つが2電子性再結合と呼ばれる共鳴過程であり,特にその共鳴強度やX線放射角度分布において現れるブライト相互作用と呼ばれる相対論効果である.重元素多価イオンのエネルギー準位では重要であると認識されつつも補正の域を決して出ていなかった相対論効果が,電子-重元素多価イオンの衝突過程においてはクーロン相互作用を凌駕して支配的な寄与を示す例がいくつか報告され,実験,理論の両面で精力的な研究が進められている.筆者らの成果を中心に,主に電子ビームイオントラップを用いて行われている研究の進展について紹介する.