原子衝突学会誌しょうとつ
Online ISSN : 2436-1070
温度可変低温イオン移動度質量分析による ホスト-ゲスト化合物の構造と異性化反応の研究
大下 慶次郎 伊藤 亮佑角田 健吾美齊津 文典
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2023 年 20 巻 4 号 p. 88-99

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抄録

クラウンエーテルなどのホスト分子がもつ空間に,アルカリ金属イオンなどのゲスト分子が取り込まれて生成するホスト-ゲスト化合物は代表的な超分子の一つであり,Pedersenによる1967年の最初の報告以来,盛んに研究されてきた.本解説では,筆者らが製作したイオン移動度質量分析(IM-MS)装置を用いたホスト-ゲスト化合物の構造と異性化反応の研究を紹介する.移動管内の緩衝気体が室温のIM-MSでは,速い異性化反応のため配座異性体の分離は困難であったが,緩衝気体を86Kに冷却した低温IM-MSにより分離が可能となった.さらに温度可変IM-MSにより異性化反応の速度定数と活性化エネルギーを求め,ホスト-ゲスト化合物の構造変化における柔軟性を議論した.

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© 2023 原子衝突学会
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