原子衝突学会誌しょうとつ
Online ISSN : 2436-1070
20 巻, 4 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 中村 信行
    2023 年 20 巻 4 号 p. 74-87
    発行日: 2023/07/18
    公開日: 2023/07/18
    ジャーナル フリー
    電子-多価イオン衝突における再結合過程で放出される硬X線の偏光度測定について紹介する.再結合に限らず,多価イオンと電子との衝突の結果放出されるX線の情報は,高温プラズマ診断という応用のために重要である.特に偏光度は,そのプラズマの異方性に関する情報を与えてくれる.また,相対論効果の大きな重元素多価イオンの衝突過程,発光過程を調べることは原子物理,原子衝突物理的にも重要な研究対象であり,特に偏光度は相互作用の詳細な内訳を調べることに繋がる.しかし,本研究で対象としている数10keV領域の硬X線について偏光度を精度良く測定することは困難な技術である.本研究では,宇宙観測用に開発された最先端のX線偏光計を導入することでそれを可能とし,他所では得難い新しい結果を得た.その実験や結果について紹介する.
  • 大下 慶次郎, 伊藤 亮佑, 角田 健吾, 美齊津 文典
    2023 年 20 巻 4 号 p. 88-99
    発行日: 2023/07/18
    公開日: 2023/07/18
    ジャーナル フリー
    クラウンエーテルなどのホスト分子がもつ空間に,アルカリ金属イオンなどのゲスト分子が取り込まれて生成するホスト-ゲスト化合物は代表的な超分子の一つであり,Pedersenによる1967年の最初の報告以来,盛んに研究されてきた.本解説では,筆者らが製作したイオン移動度質量分析(IM-MS)装置を用いたホスト-ゲスト化合物の構造と異性化反応の研究を紹介する.移動管内の緩衝気体が室温のIM-MSでは,速い異性化反応のため配座異性体の分離は困難であったが,緩衝気体を86Kに冷却した低温IM-MSにより分離が可能となった.さらに温度可変IM-MSにより異性化反応の速度定数と活性化エネルギーを求め,ホスト-ゲスト化合物の構造変化における柔軟性を議論した.
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