2013 年 9 巻 5 号 p. 16-
重粒子衝突非弾性散乱過程において形状共鳴はいまだ観測されていない.我々は,これまで,共鳴観測に供するため,量子論的緊密結合法,波束法を用いて,共鳴現象を系統的に調べる理論的研究を行ってきた.今回は,その中から特にHe2+イオンとアルカリ金属原子(Li,Na,K)という衝突系を取り上げ,これまでの理論的研究成果をもとに,形状共鳴について解説する.次回は,これ以外の衝突対を取り上げ,入射イオンの電荷依存性,原子番号依存性などについて解説する予定である.非弾性過程を利用して形状共鳴状態を作るという要求は最近特に強くなっている.