コモンズ
Online ISSN : 2436-9187
エッセイ
まちづくりにおける余白としての公有地・私有地・郊外
大森 文彦
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キーワード: 公有地, 私有地, 郊外
ジャーナル オープンアクセス

2023 年 2023 巻 2 号 p. 13-36

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抄録

本論文では、都市空間における「余白」のありようを検証することを目的とした。余白がありそうな都市空間を網羅するため、公有地・私有地・郊外のトピックで実際の事例を参照しながら、都市で「余白」を見出すために必要な要素を抽出した。まずその前提として、経済・政治の両面から都市の成立要因を定性的に理解した。次に、公有地として道路・公園・公共施設・都市河川、私有地として店舗・住居・銭湯、郊外として住宅団地・市街化調整区域・スプロール住宅地から複数の事例を挙げ、その成立要因や経緯を分析した。その結果、余白は①それを提供する人・利用する人という複数以上の関係性においてのみ成立しうること、②常に現状を変えようと模索する「プロセス」だということ、③将来に対して可能性を残し続けるという「ウィリング(意思)」であること、④一定の地域への「愛着」が必要な構成要素であり空間と固有のものであること、が見いだされた。実際の都市空間で何らかの余白を生み出すためには、こうした要素を考慮に入れて、取り組む必要がある。

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© 2023 未来の人類研究センター
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