抄録
本研究では、「親子」とは何か、「家族」とは何かを法律的な観点から問い、第三者が関わる生殖補助医療から生まれ た「子」の権利について考察することを目的とする。具体的には、日本における「出自を知る権利」を親子関係と家 族法からその位置付けと課題を検討する。研究方法として文献調査を行い、第三者が関わる生殖補助医療から生まれ た子どもたちの「出自を知る権利」、その周辺権利となる「出自を知らない権利」について分析する。民法における「親子」 は、単に血縁関係だけでなく、法的根拠の存在する複雑な人間関係であり、社会の仕組みだと理解する。新たに議論 され始めた子の権利である「出自を知る権利」を日本の家族関係と家族法上の問題点を考察し、「子の利益」確保の ためには、「出自を知らない権利」との関係を明確にし、さらに公的機関による生殖補助医療の管理が必要と論じる。