コンテンツツーリズム学会論文集
Online ISSN : 2435-2705
Print ISSN : 2435-2241
近代化における聖地巡礼に関する一考察
墨田・木母寺を事例として
北川 順也
著者情報
キーワード: 聖地巡礼, 地霊, 景観, 観光
ジャーナル フリー

2014 年 1 巻 p. 34-43

詳細
抄録
「聖地巡礼」は、本来宗教的な聖地を信者が巡礼することを指しているが、現代は、アニメ、マンガの読者が、コンテンツ作品に興味を抱いて、その舞台となる場所等を巡るコンテンツツーリズムが盛況である。このような場合にも「聖地巡礼」といわれる言葉が使われている。このような使われかたについいて、日常的な場所が聖地となり趣味の延長で巡礼することで聖性を高めていく過程は異例であるとする意見もある。 しかし、「聖地巡礼」については、純粋な祈り・鎮魂のための宗教的な聖地巡礼と大衆文化に支えられた聖地巡礼という二面性をもっており、いずれの聖地巡礼も敏感に時代の世相を反映しているものだといえる。後者の場合も、現在に始まったものではなく、江戸時代の大衆文化が醸成された時代から見られる傾向である。そして、それは大衆の支持がなくなれば聖地としての価値は急激に低下し、訪れる人びとも激減してしまう。これらの点に関して、歴史的な視点から、梅若伝説の墨田・木母寺を事例として、四国遍路と比較しながら考察を加える。 そして、「聖地巡礼」として訪れる場所・地域を永続性のあるものとするには、聖地としてのストーリーが信仰にも似たカリスマ性を持ち、ゲニウス・ロキともいえる土地から引き出される霊感とか、土地に結びついた連想性、あるいは土地がもつ可能性といったものも含めた、祈りや鎮魂に通じるものがベースにあること。あるいは、時代に即応した芸能等によるプロモ―ションが大衆に支持され、自治体や地元住民の協力が得られること。さらには、人びとに受け入れられる景観に優れていることなど、重層的な条件に形づくられた場所や地域が、聖地としての永続性を保てる要件だと考えられる。
著者関連情報
© 2014 コンテンツツーリズム学会
前の記事 次の記事
feedback
Top