コンテンツツーリズム学会論文集
Online ISSN : 2435-2705
Print ISSN : 2435-2241
コンテンツツーリズムとしての「街コス」
「ラブコスみやしろ2016」を事例として
菊地 映輝志塚 昌紀
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2017 年 4 巻 p. 24-34

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抄録

本論文は、参加者が衣装のまま街中を自由に歩き回ってコスプレを楽しめる形態のコスプレイベント(本論文では「街コス」と称する)について、コンテンツツーリズムの側面から検討を行うことを目的としている。そのための事例として、2016年5月に埼玉県宮代町で開催された「ラブコスみやしろ2016」(「ラブコス」と略す)を事例として取り上げた。 コンテンツツーリズムへの社会的・学術的な関心は高まっているものの、コンテンツツーリズムが「アニメ聖地巡礼」を主に対象とすることもあり、街コスを含む、アニメやマンガの舞台・モデルになっていない場所で開催されるコスプレイベントについてはきちんと論じられてこなかった。しかし、社会状況を鑑みた時、サブカルチャーとしてのコスプレは活況を呈しており、コンテンツツーリズム研究としてどのように位置づけられるのかを検討する必要性があると筆者らは考えた。そこで本論文では、街コスの特殊性を確認した上で、先行研究の検討を通じて①「街コスはどのような観点からコンテンツツーリズムとして捉えることができるのか」②「街コスはどのような性質を持ったコスプレの場であるのか」という2つのリサーチクエスチョンを導出し、これらの問いを明らかにするためにラブコス内で撮影された写真や、参加者へのアンケート調査の結果について分析および考察を行った。 その結果、第一の問いに関しては〈物語性〉と〈感情的繋がり〉という2つの観点からコンテンツツーリズムとして捉えることが可能であるということが示された。第二の問いに関しては、これまでのコスプレを目的としたイベントとは異なり、街中や店舗内でコスプレ撮影やコスプレしたまま飲食ができる点を求めて参加者が参加していることが明らかになった。

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