コンテンツツーリズム学会論文集
Online ISSN : 2435-2705
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愛知県の観光問題と新興ポップカルチャーイベント
世界コスプレサミットの事例
貝沼 明華
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2017 年 4 巻 p. 46-55

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抄録

近年、コンテンツツーリズムは観光資源が乏しかったり、観光に財政を配分するのが困難な地域に人を呼び込む新たな手段として注目を浴びている。 だが、ある程度地域の財政が安定しており、都市として発達しているにも関わらず、観光において一歩遅れをとっている地域もある。その例として今回、愛知県及び名古屋市について考察する。事例として名古屋市を会場の中心にして開催されているコスプレがメインのイベント、世界コスプレサミットについて分析することで、新興サブカルチャーイベントが地域と共に発展していくには、どのような要素が必要なのかについて明らかにする。 世界コスプレサミットはコスプレのグローバルスタンダードであるパフォーマンスを取り入れたイベント、行政からも認められていること、コスプレが写真と親和性が高く来場者の情報発信力が強いことが強みとしてあげられる。しかし、急激な肥大化は、同時に地域との一体感や、周辺の観光や文化に発展することが少ないという現象を生み出した。 しかしただイベンターが行うだけでなく、地域住民を巻き込むことで、「動物的」なイベント消費から、地域住民と来場者の間に相互リスペクトが生まれ、より地域に受け入れられるイベントになると考える。地域の観光ブランド力が低いと諦めるのではなく、新興イベントとも共存していく道の一つとして世界コスプレサミットが発展することを期待する。

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