日本調理科学会誌
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トロミ調整食品添加試料の摂食過程における性状変化
中川(岩崎) 裕子本多 優美高橋 智子大越 ひろ
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2017 年 50 巻 4 号 p. 133-140

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抄録

 本研究では,主成分の異なる3種のトロミ調整食品(デンプン,グアーガム,キサンタンガム)を添加したゾル試料の口腔内における性状の変化を検討した。
 食塊の粘度および硬さは,トロミ調整食品により程度が異なるが,口に含む前の試料と比較し,1秒後,更に15秒後は低下した。特にデンプンが主成分のトロミ調整食品は低下が顕著で,唾液中のアミラーゼによりデンプンが分解されたことが示唆された。キサンタンガムおよびグアーガムは,変化はわずかだが低下し,要因として食塊温度の上昇によることが示唆された。官能評価の結果,デンプン系およびキサンタンガム系は1秒後と比較し10秒後食塊が飲み込みやすいと評価され,食塊の力学的特性値と官能評価の関連性が示された。摂食運動に伴い,摂食前の試料と比較し飲み込む直前のゾル試料の力学的特性は唾液や温度の影響により異なる。食事を計画する際に考慮することが必要である。

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© 2017 一般社団法人日本調理科学会
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