日本調理科学会誌
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総説
報文
  • 米田 千恵, 桑原 理栄, 笠松 千夏, 香西 みどり, 畑江 敬子
    原稿種別: 報文
    2020 年 53 巻 3 号 p. 167-176
    発行日: 2020/06/05
    公開日: 2020/06/12
    ジャーナル 認証あり

     ウバガイ足部の5℃貯蔵および加熱による食味の変化について調べた。生試料を5℃で10日間までの貯蔵により,重量は徐々に減少し,10日目には元の90%になった。5℃貯蔵中に遊離アミノ酸総量には有意な変化がみられなかったが,オルニチンは貯蔵10日目に有意に増加し,腐敗との関連がみられた。ATPは貯蔵3日目以降に減少し,鮮度指標K’値は貯蔵5日目に48%であった。

     加熱によりウバガイ足部の重量は減少し,30分間加熱試料の重量は加熱前の65%であった。加熱試料の遊離アミノ酸量,ATPおよび関連化合物量は生試料よりも多かった。加熱試料の剪断力,貫通力,厚さは生試料より有意に増加し,30分間加熱試料で最高値を示した。官能評価の結果,生試料は生臭いにおいが強かった。10分間加熱試料は生試料および15秒間加熱試料よりも歯切れが悪く,弾力が強かった。総合的な好ましさでは,15秒間加熱試料が最も好まれ,生試料は好まれなかった。

  • 中野 優子, 早川 文代, 香西 みどり
    原稿種別: 報文
    2020 年 53 巻 3 号 p. 177-186
    発行日: 2020/06/05
    公開日: 2020/06/12
    ジャーナル 認証あり

     破砕の程度を5段階に変化させたニンジンピューレを用い,ピューレの呈する口中感覚を機器測定および官能評価によって評価するとともに,個人の嗜好傾向が官能評価に与える影響を検討した。破砕の程度の異なるピューレでは,粒子のサイズだけでなく粒子の形や物性も異なっており,機器測定による水平方向の抵抗力はピューレ中に含まれる粒子の不均一さや試料の流動しやすさの違いを反映した。官能評価の結果,パネル全体の平均値では,破砕が進むほど甘味,なめらかさの評点は増加し,粒子感の強度は弱まったが,粒子感の好ましさや総合的な好ましさには一定の傾向がみられなかった。次に,各ピューレに対する粒子感の強度と好ましさの評点をパネリストごとにプロットし,個人の嗜好傾向の解析を試みたところ,パネルはなめらかさを好む者,粒子感を好む者,その他に分類された。嗜好傾向の類似したパネリスト群ごとに各試料の評点を求めた結果,なめらかさや粒子感の強度の評価に嗜好傾向の違いは影響しなかった。これに対して試料間の好ましさはパネリスト群ごとに見れば有意に異なっており,個人の嗜好傾向を考慮して試料の受容性を解析する手法の有用性が示唆された。

  • 大田原 美保, 北原 茉美, 大石 恭子, 香西 みどり
    原稿種別: 報文
    2020 年 53 巻 3 号 p. 187-196
    発行日: 2020/06/05
    公開日: 2020/06/12
    ジャーナル 認証あり

     先に著者らは白飯を用いて米飯の初期老化の評価方法を検討し,米飯1粒を一定厚さにつぶした圧縮米飯粒の明度測定と画像解析による新たな方法を示した。本研究ではこの評価法の拡大適用を目的として,調味料を添加して炊飯した米飯の初期老化の評価を行った。物性測定の結果,食塩添加飯は白飯よりも老化が進み,食酢は老化を抑制する傾向が示された。合わせ酢添加飯は食酢添加飯と同傾向を示し,砂糖や塩が共存しても食酢の影響を強く受けることが示唆された。圧縮米飯粒のL*値および透過光画像の輝度値130以下の割合(白色面積率α130)より,冷蔵14時間後の食塩添加飯は白飯よりも値が高く老化が進んでいること,食酢や合わせ酢添加飯は値が低く老化が抑制される傾向が示された。L*および白色面積率α130のいずれも物性測定値や官能評価との相関が高かった。以上より調味料添加米飯においても白飯と同様に圧縮米飯粒のL*や白色面積率α130が老化の指標となることが明らかとなった。

  • 大石 恭子, 金成 はるな, 大田原 美保, 香西 みどり
    原稿種別: 報文
    2020 年 53 巻 3 号 p. 197-206
    発行日: 2020/06/05
    公開日: 2020/06/12
    ジャーナル 認証あり

     pH 3およびpH 9の緩衝液で炊飯すると,飯の付着性の増加および冷蔵に伴う老化の抑制効果が示された。一方でpH 5の緩衝液で炊飯すると米飯の老化の促進が認められた。米飯表層を覆う固形分およびタンパク質はpH 3およびpH 9で炊いた飯において多かった。米から溶出したタンパク質のSDS-PAGE分析の結果,酸性条件ではアスパラギン酸プロテイナーゼによるタンパク質の低分子化,アルカリ性条件ではジスルフィド結合の還元によるタンパク質の可溶化が示された。これらの変化により酸性およびアルカリ性条件においてデンプンの吸水,膨潤,糊化が促進され,飯表層に付着する成分の増加に寄与することが示唆された。一方でpH 5の条件ではタンパク質の可溶化が抑制されており,デンプンの膨潤,糊化が妨げられることが老化を促進させる一因になることが示唆された。

資料
  • 安藤 真美, 北尾 悟, 畠中 芳郎, 阪上 了一, 小幡 明雄
    原稿種別: 資料
    2020 年 53 巻 3 号 p. 207-215
    発行日: 2020/06/05
    公開日: 2020/06/12
    ジャーナル 認証あり

     炊き込みご飯を想定した炊飯米において,諸酵素が活きている生醤油の調理特性について火入れ工程を有する加熱醤油と比較検討を行った。

     その結果,糊化度は生醤油と加熱醤油を用いた炊飯米で大きな差はなかった。炊飯米の色調は,生醤油を用いた場合,色を明るく赤味の少ない淡い米飯を調製することができた。高い塩分濃度(米重量に対して2.0%塩分調味パーセント)の場合,破断荷重およびもろさ荷重の結果から,生醤油は加熱醤油に比べて軟らかくもろさの少ない米飯が調製できることが示された。また,還元糖量も生醤油で調製した米飯の方が加熱醤油に比べて有意に多く,官能評価の結果と一致していたことから,加熱醤油に比べて甘みを呈する米飯を調製できると思われた。

     以上の結果から,炊飯中に α-アミラーゼなどの澱粉分解酵素やその他の酵素作用により,生醤油は加熱醤油とは違う食感や呈味を有する米飯を調製できる可能性が示唆された。

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