日本調理科学会誌
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総説
報文
  • 富岡 敏彦, 内藤 宙大, 廣瀬 潤子, 成田 宏史, 和泉 秀彦
    原稿種別: 報文
    2026 年59 巻1 号 p. 8-16
    発行日: 2026/02/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル 認証あり

     ベイクドエッグでは,オボムコイド(OM)が不溶化することでアレルゲン性が低下することが知られているが,その詳細な機序は明らかになっていない。そこで本研究では,焼成OMの消化・吸収性を解析し,アレルギー症状誘発との関連性を検討した。イムノブロットにおいて,焼成OMの上清中のタンパク質濃度は,精製OM,加熱OM,および非焼成OMと同程度であったが,それらの試料と比べ発色が弱く,抗体結合能が低下していた。動物実験において,焼成OM群においてアレルギー症状が抑制された。また,OMを摂取したマウスの血中からOMが検出され,その中で焼成OM群が最も低値を示した。しかし,これらのマウスの120分後の腸管内容物や糞中からOMは検出されなかった。以上のことから,焼成OMは消化によってIgE抗体が認識しずらい小さい断片へ分解されることで,体内へ吸収されても抗体が結合しにくくなっており,それによってアレルギー症状が抑制されている可能性がある。

  • 中川(奥田) 玲子, 白杉(片岡) 直子, 福村 智恵
    原稿種別: 報文
    2026 年59 巻1 号 p. 17-31
    発行日: 2026/02/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル 認証あり

     高βグルカン含有ビューファイバー大麦粉(搗精度60%)の配合比率を変化させ食パンの製パン性,嗜好性,物理的特性に及ぼす影響を検討した。製パン性は,大麦粉の配合比率の増加に伴い低下した。 25~65歳の26名のパネルによる官能評価では,嗜好性と食感の点から大麦20%パンは 小麦100%パンとほぼ同等の評価であった。大麦30%パンはやや官能評価結果が低い傾向にあったものの,パネリストの73%が日常食として受け入れた。一方大麦40%パンは,62%のパネリストから日常食に適さないと評価された。破断特性については,大麦粉の配合比率が高くなるにつれて,中間点エネルギーは高くなり,最大荷重および 弾性率は低下した。大麦30%,40%パンの荷重-ひずみ微分曲線においては,微分値が正負双方向に繰り返し変動し,特に大麦40%パンは大きな振幅を示した。これらの物理的特性が大麦40%パンの砕けやすい脆い食感をもたらしたと推察される。

ノート
  • 柴田 圭子, 恩田 真珠子, Pemika Yaorm, 松浦 朋子
    原稿種別: ノート
    2026 年59 巻1 号 p. 32-39
    発行日: 2026/02/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル 認証あり

     薄力小麦粉の代替に米粉を用い,バッターを構成する卵黄と卵白の比率を1:1(RW1),1:1.5(RW1.5),1:2(RW2),1:3(RW3)としたシフォンケーキについて,その品質と食味への影響を検討した。

     卵白比率の上昇に伴い,バッターおよび焼成ケーキの高さは増加したが,グルテンを欠くために焼成後の高さを維持できず,ケーキ高さは薄力小麦粉ほど高くはならなかった。バッター密度や気泡の分散状態,米粉のSEM観察などの結果から,薄力小麦粉に比べて米粉が破泡を招きやすいとは認められなかった。また,卵白比率の高い試料RW3はやわらかく,スポンジ組織のもろさが顕著にみられた。

     官能評価結果より,卵白比率が最大のRW3がケーキ内相の色や総合評価で好まれない傾向がみられた。同じ卵白比率の薄力小麦粉のケーキとの比較では,両者のテクスチャーの差を知覚しながらも,両者に嗜好的な有意差はみられなかった。

  • 山﨑 一諒, 栗山 磯子
    原稿種別: ノート
    2026 年59 巻1 号 p. 40-46
    発行日: 2026/02/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル 認証あり

     ガジュツ(Curcuma zedoaria)は,クルクミン類を含まない特徴的なウコン属植物である。我々はこれまでガジュツが糖質分解酵素のひとつであるマルターゼに対する阻害活性,および脂肪モデル細胞3T3-L1に対する脂質蓄積量の増加やPPARγおよびアディポネクチンのmRNA発現量の増加といった分化促進作用を有することを報告してきた。本研究では,ガジュツの機能性を付加した食品の開発を目的に,摂取頻度の高いパン類に着目して製パン工程がガジュツの機能性に及ぼす影響を評価した。その結果,製パン工程を経てもガジュツの機能性は保持されていた。しかし,ガジュツ添加パンは基準パンと比較して重量の増加および体積の減少がみられ,製パン性に課題が残された。今後,製パン性の改善やその他の食品への応用,煮る,焼く,蒸す,揚げるといった加熱操作や嗜好性への影響と,活性成分や作用メカニズムのさらなる詳細を解明したい。これにより,ガジュツの機能性を付加した食品の開発・食生活への活用が可能となる。

資料
  • ―実習記録と動画の分析による考察―
    作田 はるみ, 橘 ゆかり, 片平 理子, 岸田 恵津, 堀内 美和, 坂本 薫, 中谷 梢, 三浦 加代子, 森井 沙衣子, 升井 洋至, ...
    原稿種別: 資料
    2026 年59 巻1 号 p. 47-58
    発行日: 2026/02/05
    公開日: 2026/02/10
    ジャーナル 認証あり

     小学校教員志望学生らが2社の家庭科教科書にならい,ガラス鍋で炊飯を実習した。動画や実習記録から,鍋の変化や学生の行動,気づき,疑問,判断基準を抽出した。温度上昇期から沸騰期にかけては全班でふきこぼれた。沸騰の判断基準として両教科書に記された「ふたの音」は確認されなかった。しかし,湯気の発生は有効な目安となった。沸騰期から蒸し煮期の「水が引く」の解釈に学生は戸惑い,切り替えが遅れたが,概ね許容範囲内だった。蒸し煮期の消火では「こげるにおい」を目安とする教科書があったが,早い段階でこげ臭が認められる班もあったことから適切ではなかった。学生らは炊飯の状態による判断を重視しながらも,教科書に示された加熱時間に基づいて火加減を切り替える場面も見られた。全班で鍋底にこげが生じた。ガラス鍋は熱伝導率が低くふきこぼれやこげが発生し易い特性を持つ。教科書には再現可能な炊飯の状態を具体的に記載することが望まれる。

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