日本調理科学会誌
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最新号
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報文
  • 齋藤 公美子, 菅 尚子, 伊丹 惠子, 武智 多与理, 畠中 芳郎, 髙村 仁知
    原稿種別: 報文
    2026 年59 巻4 号 p. 227-236
    発行日: 2026/08/05
    公開日: 2026/08/11
    ジャーナル オープンアクセス

     生おからに加水・磨砕・加熱殺菌を施した液状おから(水分95%,固形分5%)を,米粉パンの加水量に対して0~50%置換し,栄養成分,物性,老化特性への影響を評価した。液状おからは,固形分の約半分が食物繊維,次いでたんぱく質で構成された。液状おから50%置換により,パンの食物繊維量は0%置換の約2倍に増加した。走査電子顕微鏡観察では,液状おからは乾燥おからより粒径が小さく,生地中で均一に分散していた。動的粘弾性測定では,置換率の増加に伴い貯蔵弾性率および損失弾性率が上昇した。比容積は25%置換で最大(2.25 cm3/g)となり,30%まで硬さが低下し,付着性の少ない食感が得られた。保存2日後も25%および50%置換群で硬化が抑制され,内部構造の脆化が遅延した。これらは,食物繊維・たんぱく質による保水性向上,デンプン再結晶化抑制,微細粒子の均一分散による構造安定化に起因し,液状おからの約25%置換が最適条件と示唆された。

ノート
  • 石橋 ちなみ, 眞鍋 知里, 小田 結香, 竹中 重雄
    原稿種別: ノート
    2026 年59 巻4 号 p. 237-245
    発行日: 2026/08/05
    公開日: 2026/08/11
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究では,炊飯方式の違いが米飯の物理特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,炊飯温度履歴および加熱方式の異なる3種の炊飯器(圧力IH式:IH-P,IH式スチーム噴射:IH-S,蒸気式:ST)を用いて,米飯および炊飯過程(沸騰前,沸騰後)の米と炊飯液を分析した。米飯の重量,水分量は,IH-S,IH-P,STの順で大きく,IH-Sは沸騰前,沸騰後の米の重量,水分量も多かった。米飯の糊化度はいずれの炊飯方式も90%程度であった。飯粒表層の固形物量はSTで少なかった。官能評価では,STは硬く,粒立ちがあり,粘りが少ない一方,IH-Sでやわらかく,水分感があると評価され,米飯の重量,水分量の結果と一致していた。これは,米に加えた水を蒸発させながら炊飯するIH-PやIH-Sとは異なり,STは蒸気により加熱する炊飯方式であること,IH-Sは沸騰前の米に水を多く吸水させ,炊飯時間を短く蒸発量を抑えて炊飯していたためと考えられる。

  • 新木 由希子, 児玉 ひろみ, 藤田 萩乃, 浅野 桂吾, 豊満 美峰子
    原稿種別: ノート
    2026 年59 巻4 号 p. 246-259
    発行日: 2026/08/05
    公開日: 2026/08/11
    ジャーナル オープンアクセス

     国内で主に肉用種として飼養される羊サフォーク種の乳は,栄養価が高いものの,特有の臭気から消費者には好まれず,羊サフォーク種の乳製品は市場に流通していない。そこで本研究では,同種の乳でカイエドブルビとフロマージュブランの2種類のチーズを試作し,その受容性を検証した。

     官能評価の結果,カイエドブルビの食感,フロマージュブランのコクが特に好ましく評価(受容)され,総合評価では「普通」以上を得た。酸味の評価は他項目より低く,改善の余地が示された。イメージ調査では,「個性が強い」「高級感がある」といった肯定的な印象がある一方,「食べにくい」「手に入りにくい」との課題も明らかになった。

     これらの結果は,羊サフォーク種のチーズが,本研究で設定した指標(評点4以上の割合)を用いた限りにおいて,両チーズは一定の嗜好性を有することが示唆された。

資料
  • 玉木 有子, 中山 由佳, 野田 寧, 石川 匡子, 小竹 佐知子
    原稿種別: 資料
    2026 年59 巻4 号 p. 260-266
    発行日: 2026/08/05
    公開日: 2026/08/11
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究では,市販食用塩の種類に着目し,ホウレンソウを1%食塩水でゆでた際の色調,アスコルビン酸(AsA),硝酸塩の変化を比較検討した。その結果,市販食用塩の化学的特性の違いは色調に反映され,特にアルカリ性を示す食用塩を用いて調製した青汁では,明度(L*値)が有意に上昇し,外観が明るくなる傾向が認められた。これに対して本研究の操作条件(ゆで2分,水さらし5分,ゆでる前の重量と同重量になるまで水切り)では,AsAおよび硝酸塩の残存率について塩種による明確な差は認められず,「食塩添加はビタミンC保持に有効である」とする通説の妥当性を十分に検証するには至らなかった。以上より,色調改善を目的とする場合には塩種の選択が有効である一方,成分保持を重視する場合には,塩種よりも調理操作を適切に管理することが重要であることが示唆された。

  • 岸田 恵津, 辰巳 朔奈, 森井 沙衣子, 小林 裕子, 永田 智子
    原稿種別: 資料
    2026 年59 巻4 号 p. 267-279
    発行日: 2026/08/05
    公開日: 2026/08/11
    ジャーナル オープンアクセス

     電子レンジ調理の学習を小学校で扱う可能性を検討するために,家庭科教科書における電子レンジに関する記載内容と,小学生の保護者(400人)及び小学校5,6年生児童(497人)を対象に,家庭における電子レンジの使用状況や小学校での学習に望むことを調査した。

     中学・高校の教科書には電子レンジの仕組みや注意点などが記載されていたが,小学校の教科書ではほとんど扱われていなかった。保護者の41%,児童の63%が,小学校低学年以前に電子レンジの使用経験があると回答し,その主な用途は「ご飯やおかずの温め」であった。保護者の71%,児童の72%は小学校で教えてほしいと回答し,教えてほしいことで多くあげられていたのは,「加熱すると危険な食べ物」,「使える容器」等であった。

     これらの結果より,小学校低学年から電子レンジに関する学習の機会が必要であること,及び安全な使用方法の学習が望まれていることが示唆された。

  • ―中学校家庭科における朝食内容の把握を起点とした食生活改善への意識形成―
    柴田(石渡) 奈緒美, 飯田 七楓, 福岡 大輔
    原稿種別: 資料
    2026 年59 巻4 号 p. 280-288
    発行日: 2026/08/05
    公開日: 2026/08/11
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究は,Webアプリケーション教材を用いて,生徒が自らの朝食内容を6つの基礎食品群の観点から把握・可視化したうえで,1日の栄養バランスを考慮した夕食の献立を作成する学習を1時間の授業で実施した。朝食は主食中心で簡便な構成となっており,主菜・副菜の摂取者は半数以下に留まった。夕食では68.5%が基本的な献立構成を満たし,朝食で不足していた食品群の摂取量が増加するなど栄養バランスを意識した構成が見られた。自由記述では朝食に言及した生徒の46.3%が課題を具体的に述べ,32.8%が改善意図を示すなど,課題認識から改善意図へとつながる記述が確認された。一部の生徒においては目標値に近づけることのみを意識し,実際に夕食で食べられる量や料理の相性を考慮していない献立が散見されたが,本実践は生徒が食事バランスの課題を自覚し,食生活改善への意識を形成する契機となる可能性が示唆された。

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