日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
摘果ミカンを利用したゼリーの製造
稲津 忠雄牧野 義雄
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 30 巻 3 号 p. 272-277

詳細
抄録
廃棄物である摘果ミカンの有効利用を図るために,その果汁を用いてゼリーの試作を行った。温州ミカンは早生品種(興津),中生品種(久能),晩生品種(林)の3種類を用いた。試作ゼリーのゲル強度は,ゲル化剤の添加率と破断応力値から構築した関係式により,市販品と同じ強度に調整した。摘果ミカン果汁は完熟果汁に比べて糖含量が低かった(ショ糖で1/4,果糖で1/2,ブドウ糖で1/2)が,逆に酸含量は高かった(クエン酸で3倍,リンゴ酸で5倍)。摘果及び完熟果汁から成分調整して作られたゼリーは,甘さ,酸っぱさ,おいしさの3項目について比較した。その結果,両者の間に有意差は認められず,同等の品質を持つゼリーが製造できた。摘果ミカンは高い酸含量のために,ゼリー製造に要する使用果汁量を節約でき,これを利用した方が製造効率の点で有利であり,未利用資源の活用にもなることが明らかになった。
著者関連情報
© 一般社団法人日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top