抄録
本研究の目的は,ストレスコーピング方略とピア・サポートによる心理的効果の関係を検討することであった。46人の被験者がピア・サポートに参加した。最近ストレスを強く感じた状況を想起させたあと,Profile of Mode State短縮版(POMS)を用いて気分を測定した。ピア・サポートの終了後,POMSを用いて気分を測定した。また,ピア・サポート時とは別に,ストレスコーピング方略質問紙に回答させた。結果は,1)「活気」の気分以外については全体的にストレス緩和効果がみられたが,問題焦点低群,コーピング量低群では「活気」の気分が変化しなかった。2)比率情動群はすべての気分変化を示したが,比率問題群では,「疲労」および「怒り―敵意」の気分変化がみられなかった。本研究において,ストレスの上昇がみられず,ストレス緩和効果がみられたため,ピア・サポートが,いずれのストレスコーピング方略にとってもストレス緩和効果に有効なサポートであることが示された。一方,問題焦点低群,コーピング量低群,比率問題群において,一部緩和効果がみられず,ピア・サポートとの適合性の低さが示唆された。