抄録
本研究では中年期を対象に,時間的展望を投影的に測定するサークル・テストを実施し,中年期の時間感覚と時間的連続性に注目して時間的展望の特徴をとらえた。研究1では,中年181名を対象に量的調査を試みた。その結果,中年期は現在の円を最も大きく描く割合が高まり,円の関連は過去と現在,現在と未来の円の一部をそれぞれ重ねて描く交わり型の割合が一番高かった。また,現在や未来を最も大きく描く者は過去を最も大きく描く者よりも現在や未来に対してポジティブな態度を示し,現在を最も大きく描いた者の精神的健康度が高かった。さらに,交わり型が現在に充実感を抱き,未来へもポジティブな態度を示した。その後,それらの質的な側面をとらえるために研究2として,研究1の対象者のうち22名にインタビュー調査を実施した。その結果,現在や未来の円を大きく描く者は円の中に精神的な成長の意識が生じ,また,円を重ねて描く者には時間の中に自己の形成意識が生じていることが示され,それにより時間的連続性が保たれていることが推測された。