2012 年 45 巻 2 号 p. 123-130
筆者は日本語適応教室で外国籍児童を担当した。そこでは,教科指導と適応指導が中心である。しかし,時間的に可能な限り児童との面接を図り,教育相談活動に努めた。また,問題行動を起こした児童には,担任等と連絡をとりながら児童の指導,教育相談による関わりを行うようにし,外国籍児童との信頼関係を深め,学校生活の適応に努めた。今回,通学班の集合場所で低学年の児童数名に暴力を振るったA君との面接を検討する。筆者はA君との面接によって信頼関係を築き,相手の存在に気づくことの重要性を教えた。さらに,A君がいじめていた妹との関係を見つめ直すために役割交換書簡法を導入した。このことにより,A君は弱者の存在に対して洞察を深め,行動変容していった。