抄録
これまで,ネガティブライフイベントと不適応状態との関係において,自己分化度を媒介変数とする因果モデルが横断的調査によって示されてきた。本研究は,この因果モデルの中で,ネガティブライフイベントと自己分化度の因果関係について着目し,それが時系列的にも妥当であることを示すことを目的とした。首都圏の公立高校生(n=60)を対象として,3週間のインターバルで2回の調査を実施した。これまで自己分化度尺度については,再検査法による信頼性の確認がなされていなかったため,まずはじめにその確認を行った。その分析は,ネガティブライフイベントの影響を統制した上で行った。その確認がなされた後に,階層的重回帰分析によって,ネガティブライフイベントによる自己分化度の変動を検討した。その結果,ネガティブライフイベントの経験が後の自己分化度を低下させることが示された。すなわち,ネガティブライフイベントと自己分化度の因果関係が時系列的にも妥当であることが示された。ただし,調査のインターバルについては,今後検討する必要が示唆された。