抄録
本研究は不登校・ひきこもりへの訪問援助について,問題とみなされる被援助者(以下,IP)と訪問者の二者関係という従来のモデルではなく,親を取り入れた三者相互関係の視点からその構造を検討した。訪問援助機関のケースマネージャー,訪問従事者に対してインタビューと自由記述の調査を実施し,複数の異なる質的データから分析を行った。その結果,三者関係は訪問の初期から後期に至るまで,援助展開に影響を与える関係構造として存在していることが認められた。初期は三者関係が援助抑制的に作用してしまう構造があり,IPの訪問に対する抵抗や非主体性が存在していることがわかった。そのような中で,訪問者はIPとのつながりを維持しながらも,三者関係のフィードバック機能を促進しながら三者の関係調整を継続的に行っていく過程が見いだされた。このことを通して,中期から後期には援助促進的な三者関係へと問題解決システムを広げる意義が考えられた。また,訪問者はIPに加えて親からも援助抑制を受け,面接室型のカウンセリング関係とは異なる二重の援助抑制構造についても概念化され,動機づけが低い対象者への三者関係を生かした構造理解とコミュニケーション介入の意義が提示された。