抄録
本事例の視覚障害を有する女子高校生は,過呼吸発作,失声,突発性難聴といった心因性とみられる多様な症状を呈した。小学校時代に登校を拒否し,中学校時代には同級生がいなかった彼女は,視覚障害に特化した特別支援の高校への進学を機に,同じ障害を有する同年齢の集団というこれまでに経験してこなかった対等な人間関係を求められる環境におかれ,学級内でほぼ孤立した状態で発症した。同級生への不適応が発症の背景にあるとみなしたカウンセラーにより,適応援助をめざしたカウンセリングが実施された。まず,自制してきた援助を求めるという依存ができるようになることが目標とされた。さらに,相手の負担の軽減を考慮した努力を伴う依存が同級生に対してできるようになるにしたがって,すべての症状の緩解がみられた。本事例では,上下の人間関係でも一方的な依存でもない,自分も他者も尊重した依存という,障害者として生きてゆく上での重要な課題に通じるカウンセラーの援助を報告した。