抄録
純粋性は,セラピストの内的な気づきや受容に関わる「一致性」と,そのコミュニケーションに関わる「透明性」という2つの側面からなり,クライエントとのやりとりの中で共感と密接に関わって表れる。本研究では,対人プロセス想起法を用いたインタビューを行い,セラピストの内的体験とそのコミュニケーションの両側面を,純粋性が特徴的に表れた少数の事例に焦点を当てて検討した。グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた分析の結果,クライエントの深い体験に接触しようとする《クライエントの体験に近づく》,クライエントの体験の理解や意義を深め,それをクライエントと一緒に体験しようとする《クライエントの体験をかみしめる》,純粋性が発揮されておらず,クライエントの感じ方に触れようとするよりもセラピスト自身の気持ちや判断に意識が向かう《クライエントの体験から離れる》,クライエントと言語的・非言語的にセラピスト自身の体験を共有する《セラピスト自身の感じ方を伝える》という4つのカテゴリーを生成した。共感との関連,および,事例を超えて共通するプロセスについて検討した。