カウンセリング研究
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原著
夫婦間葛藤が児童の抑うつ症状に与える影響―児童の家族関係認知を媒介したモデルの検討―
菊地 創富田 拓郎
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2016 年 49 巻 2 号 p. 53-63

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抄録
本研究は,小学4~6年生とその両親92組を対象として,両親の夫婦関係が児童の抑うつ症状にどのように影響するのかに関するモデルの検討を行った。本研究では,中学生を対象とした先行研究で示された「親行動媒介モデル」と「子どもの知覚・反応性モデル」を1つのモデルに組み込んだ包括的モデルを参考に,「子どもの認知した家族関係」を変数に組み込んだモデルの検討を行った。その結果,父母の夫婦間葛藤からそれぞれの親行動への効果,母親の親行動から児童の家族関係認知への効果,児童の家族関係認知から児童の抑うつ症状への効果が認められた。本研究の結果,小学生においても夫婦関係が抑うつ症状のリスクファクターとなりうる一方で,夫婦間葛藤が存在したとしても,ただちに児童が家族全体をネガティブに認知するわけではないことが示された。
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© 2016 日本カウンセリング学会
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