カウンセリング研究
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ケース報告
全般不安症患者に対して変化のアジェンダに力点を置いたアクセプタンス&コミットメント・セラピーが奏功した一事例
富田 望南出 歩美熊野 宏昭
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2024 年 57 巻 1 号 p. 41-53

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抄録

全般不安症の一事例に対して,アクセプタンス&コミットメント・セラピー(以下,ACT)に基づく介入を進めた経過を報告した。#1~#6の介入は対面で実施し,#7~#13と2回のフォローアップはコロナ禍のため面接が3か月中断となった後,遠隔で実施した。#1~#6では“心配に気付いたら現実に注意を戻す”という方針で進め,適応的な行動の増加など一定の効果はみられていたが,心配から現実に注意を切り替える行動の中には回避の機能を有する行動も含まれていたと考えられた。そして,ACTで従来焦点が当てられてきた“思考や感情はコントロールする必要がある”という変化のアジェンダだけでなく,“心配していると危険なことが起きてしまう”というアジェンダにより回避が維持されていることが考えられた。そこで,#7以降は後者のアジェンダに焦点を当て,“心配と共存しながらやりたいことを続ける”という方針に切り替えることや,セラピーの一環として面接を終わらせることでアジェンダに反証する体験を促した。その結果,心配に囚われる度合いが減少し,行動レパートリーが拡大するとともに,全般性不安症状は軽快し,終結後3か月まで軽快状態が維持していることが確認された。

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