本論文の目的は、大阪市における戦前長屋集積型の密集市街地の典型地区である福島区野田2、3、5丁目を事例として、「建築時期が1981年以降の一戸建て住宅」に居住する世帯の特徴および、こうした世帯が大地震発生時において道路閉塞により被災する危険性を把握したうえで、今後の密集市街地整備のあるべき方向を探ることである。研究の方法として、現地目視調査、アンケート調査、図上計測を併用した。調査・分析の結果、事例地区の全住戸の16_%_が「建築時期が1981年以降の一戸建て住宅」であり、その居住世帯には年少者や高齢者が多い傾向があり、さらに、居住世帯のほとんどが、大地震発生時において道路閉塞の危険性に曝されていることが明らかになった。