住生活に対する人々の要求が、量から質へと転化して久しい今日、その把握は非常に困難なものとなっている。そこで本研究においては「住環境の概念」という社会のイメージを人々のマクロ的な住意識として捉え、その概念的変遷を過去の新聞記事の内容分析によって把握する。具体的には、住環境の概念のうち特に何が関心を集めてきているのかを分析する。その結果から都市・住宅政策上の示唆を得るとともに、これまでの住宅政策はいかに社会の要求に対応してきたかを「住宅建設五箇年計画」の言語統計学的分析の結果を用いることによって評価する。結果として、住環境概念のうち「快適性」に関するものが近年最も関心を集めてきており、多くの問題の解決には行政によるコーディネート機能の強化が求められ、またこれまでの住宅政策は一定程度社会の要求を反映していたことが示唆された。