本研究は,社会的ジレンマにおけるまちづくり方策の主観評価を規定する要因を明らかにする.筆者は既往の研究から仮説を導き,それを検証するために実験計画法に基づく実験を行った.その結果,利得が強いとき,集団のサイズが大きいとき,個人的視点に基づくとき,まちづくり方策に対する住民の満足度に肯定的な効果を与えることが明らかなった.この知見から,まちづくり方策の策定過程における社会的ジレンマ問題を解決するためには,まず,社会的視点を促すような利他的な思考を押し付けるよりも,利己的なまちづくり方策が利得にもたらす効果を徹底的に理解させ,個人的視点を促すべきである.