本論文の目的は、ドイツの計画確定手続きにおける公共事業での利害調整の仕組みを明らかにし、日本での課題を明らかにすることである。まず第一に、計画確定手続きのプロセス、役割、公開書類や地図、計画プロセスでの位置づけを把握し、次に、計画確定手続きと他の法制度との連携による調整の仕組みを明らかにした。これは、計画確定手続きが他の法制度の手続きを包括する手続きのためである。また、連邦長距離道路A94の一部を事例として調べた。計画確定手続きでは、個々の権利と結びついて示される事業の影響に関する書類や地図が公開され、異議申立てに基づく聴聞会で協議が行われ、必要に応じて計画や対策が変更される。日本の都市計画事業で言えば、都市計画事業認可段階に相当する段階と考えられ、このような段階で手続きが実施されることは、事業の透明性や公平性を確保する上で重要と考えられる。しかし、日本での導入にはなお各基準の設置や個人情報の公開方法など課題も多い。