都市計画論文集
Print ISSN : 1348-284X
第41回学術研究論文発表会
セッションID: 62
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『摂津名所図会』と『和泉名所図会』に描かれた神社の緑の存在形態とその変化に関する研究
*清水 美砂上甫木 昭春
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抄録

本研究では、『摂津名所図会』と『和泉名所図会』に描かれた神社と現在の神社の緑の存在形態とその変化を把握し、それらの空間特性を周辺土地利用と地形条件から検討した。その結果、神社の緑の存在形態において、絵図では樹林型、現在では広場型が多く、緑の存在形態は樹林型から広場型に変化しているところが多かった。また、現在の樹林型内でもより樹林割合が少ないタイプへ移行しており、緑の存在形態が変化していることが明らかとなった。空間特性について、地形条件では大きな変化は見られなかったものの、より起伏の大きいところでないと樹林としての形態が維持できなくなっており、緑の存在形態の変化については、起伏のないところでは広場型がそのまま継承され、起伏が大きいところでは樹林型が継承されていることが明らかとなった。一方、周辺土地利用では大きく市街化が進んでいるにもかかわらず、周辺土地利用との間に明確な関係性は認められず、地形条件の方が緑の存在形態の継承により強く寄与していると類推された。

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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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