土地権利を有することは、都市の貧困女性にとってどのような意味を持つのであろうか?本研究はザンビアの首都ルサカのコンパウンドをケーススタディとして、土地権利と女性のエンパワーメントとの間の好循環関係について検証を行った。調査対象コンパウンドはスクウォッター居住によって成長拡大したが、1979年から30年間の占有権が住民に対して発行されている。対象地区の242世帯の住民アンケートとインタビュー結果を中心に分析を行った。その結果、土地権利の移転が進む中で、父親からの相続や自治体からの直接の取得などにより、想定されていたよりも多くの女性が土地を所有していることが分かった。また、女性が土地権利を有している世帯の方が、世帯内における居住環境に関する意思決定に女性がより参加するという結果が得られた。さらに、世帯内で女性が意思決定に参加している世帯の方が、自宅の給水設備が良い傾向が見られた。しかし、女性の所得水準が低いことが大きな妨げとなって、女性の占有権取得や、女性の土地権利所有による女性さらには居住環境への好循環関係の構築は依然困難な状況である。