本研究では、自動車に頼らざる得ない地方都市において、電動キックボードを活用した都市・交通施策の展開の可能性に関する基礎的な知見を得ることを目的として調査を実施した。10代から20代の大学生を対象として、電動キックボードの走行体験を行い、被験者が感じた電動キックボードの操作性や安全性、今後の利用意向に関するアンケート調査を行った。その結果、電動キックボードの利用想定距離に着目した場合、バス停や鉄道駅の徒歩圏域、日常生活圏域において電動キックボードの利用が見込まれ、電動キックボードシェアの利用意向については96.3%であった。よって、利用環境を整えていくことで、自動車依存による移動の低減に向けた可能性があることを示唆した。一方、被害軽減の観点から、ヘルメット着用の意識を高めていく必要もある。今後、更なる知見を深め、自動車に頼らざる得ない地方都市において、多様なモビリティが共存する安全な社会を目指した施策の提案につなげたい。