人口減少問題を抱える日本において,Uターン人口増加のための糸口として,都市に対する市民の誇りと定義されるシビックプライドの醸成が注目されている.本研究では,農漁村地域である富山県氷見市を対象に,Uターン施策を行う上で重要とされる高校生を対象にアンケート調査を実施した.その結果,どのような源泉がシビックプライドを醸成し,将来の定住意識を高めるかという一連の流れを明らかにした.シビックプライドの源泉は「魚・海」,「祭」,「公園・広場」,「歴史・文化」の4つの因子で構成され,シビックプライドの構成要素は「参画」,「アイデンティティ」,「愛着」,「持続願望」の4つであることを提示した.また,共分散構造分析の結果,高校生における将来の定住意識は,シビックプライドの構成要素の一つである「愛着」によって形成され,その「愛着」は「魚・海」と「公園・交通」の源泉によって醸成されることが明らかになった.