抄録
新型コロナウイルス感染症による生活様式の変化に伴い、都市活動の基盤となる都市交通において、従来の問題意識を超えた新たな検討事項が発生している。そこで、本研究ではコロナ禍における都市交通現象を整理するとともに、なかでも道路交通事故の問題と自転車交通増加の問題を中心的に検討する。コロナ禍における道路交通事故に関して、各都道府県の交通事故死者数の変化のメカニズムを考察した。その結果、大都市圏と地方部での交通事故発生メカニズムの相違点が明確となった。また、自転車交通の増加に関しては、死者数は減少傾向にあるのに対して交通違反件数・自転車事故件数の増加が観測された。そのため、わが国においては交通ルールの徹底などの対応が期待される。