抄録
本稿は、グラスゴーが現在の都市空間の様相を形作るに至った背景として、戦後の初期段階に実施された抜本的な都市空間の再編が起因しているとの仮説の下、当時の再開発がその後の都市空間再編をいかに特徴づけてきたかについて考察することを目的とする。その結果、1940年代から1950年代にかけて実施されたグラスゴーにおける再開発は、都市問題の解消を意図していたものの、実態としてはストックの数を重視し質をおろそかにした開発が行われ、かえって問題を抱えたエリアを拡大する結果となった。また、そのようなエリアでは取り壊された住宅の跡地において、未利用のまま放置された空地・荒廃地が多い一因となっていると考えられる。