抄録
本稿は、公共空間の利用におけるジェンダー問題を可視化する取り組みとしてどのような方法が有用かを考察する論文である。本稿では、公共空間の利用におけるジェンダー平等に着目する。先行研究から、実際の都市空間におけるジェンダー問題は、面的に広がる都市の性質、社会におけるジェンダーの権力構造によって発生すると考えられていると整理した。一方で世界的な議論では、空間の設計への着眼にとどまり、都市計画の視点は少ない。スウェーデン・ウメオ市の「Gendered Landscape」は、都市空間にジェンダー問題がどのような形で表出しているかを議論しており、権力構造を可視化する取り組みとして有効であると考えられる。