抄録
本研究は、戦後都市開発地区を後世に継ぐべき遺産として保全活用する先進的な取り組みであるオランダの復興地域遺産を対象に、戦後都市開発地区の保全方策について考察することを目的とした。
復興地域遺産は、保全義務がないことによって凍結保存ではなく、地区の再開発が可能となっている。戦後都市開発地区では保全義務がないことは、住民や企業との合意形成の上でメリットとして捉えることができる。
保全方策としては、建物の特徴的なデザインの保全にとどまっており、都市計画の街区構構造やデザインについての保全については触れられていない。また、戦後都市開発地区の遺産的価値の認識が難しいため、認知拡大の取り組みが必要である。