日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第10回日本トレーニング指導学会大会
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口頭発表
大学野球投手における下肢筋機能の特徴と球速との関係 - 軸脚と踏込脚のジャンプパフォーマンスの差異に着目して -
*久保 誠司苫米地 伸泰辻 孟彦竹田 幸成古城 隆利河野 徳良
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p. O04-

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抄録

【トレーニング現場へのアイデア】 本研究の結果から、大学野球投手に下肢トレーニングを実施させる際は、左右差を考慮 すべきと考えられる。また、球速に関連があるフィールドテストとして、両脚立ち三段跳 びの有効性が示唆された。 【目的】 本研究は、軸脚と比べ踏込脚のジャンプパフォーマンスが高く、且つ球速と相関がある のか否かを明らかにすることを目的とした。 【方法】 大学野球投手18 名(年齢:19.4±1.0 歳,身長:175.5±5.0cm,体重:76.4±6.9kg,最 高球速:132.9±6.1km/h,平均球速:128.1±5.4km/h)を対象とし、測定を別日で2 日実 施した。1 日目の測定として3 種目のジャンプパフォーマンス測定(両脚立ち三段跳び, 踏込脚および軸脚の片脚立ち三段跳び)を行った。2 日目の測定は、球速測定(1 イニン グ15 球×9 イニングの計135 球のストレートのみ全力投球)を実施した。球速はスピード ガンを用いて測定し、全135 球の最高値を最高球速、平均値を平均球速とした。 【結果】 対応のあるt 検定の結果、軸脚と比較し踏込脚の片脚立ち三段跳びのパフォーマンスは 有意に高値を示した(p=0.019,cohen's d=0.344)。また、Pearson の積率相関分析の結 果、最高球速と両脚立ち三段跳びのパフォーマンスとの間に有意な正の相関関係が認めら れた(r=0.644,p=0.004)。加えて平均球速と両脚立ち三段跳びのパフォーマンスとの間に も有意な正の相関関係が認められた(r=0.671,p=0.002)。一方、最高球速および平均球速 と軸脚、踏込脚それぞれの片脚立ち三段跳びのパフォーマンスとの間には有意な相関関係 は認められなかった。 【考察】 投球時、踏込脚では負の仕事が大きくなるため、軸脚と比較し片脚立ち三段跳びのパフ ォーマンスが高値を示したと考えられる(陰山ら, 2015)。一方、片脚立ち三段跳びと球速 との間に相関関係が認められなかったことから、軸脚および踏込脚それぞれの片脚立ち三 段跳びは投球パフォーマンスと関連がないことが予想される。

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