抄録
【トレーニング現場へのアイデア】
自粛期間中の自体重プログラムでの週1 回の集合形式のオンライントレーニングと自主
トレーニングは、活動的な運動部員のパワー・筋力の維持に効果はあるが、トレーニング
効果を高めるためには、部位による負荷の設定・工夫が重要となる知見が得られた。
背景:COVID-19 の蔓延により学校部活動も制限された。一方、通信情報技術の普及が進み
それらを活用したオンライントレーニング(以降:オンラインT R)を部活動単位で実施す
るようになった。しかしながら、これらの活動がパワー・筋力の変化に対して調査・検討
した報告は見当たらない。そこで、これらのトレーニング効果の調査・報告をする必要が
ある。目的:運動部員が自粛期間中のオンラインを活用した運動指導・運動習慣の維持を
した際、パワー・筋力の維持・向上の有効性をベンチプレスとスクワットのパワー値と推
定1R M を用いて調査・報告することである。対象者:外部指導員として日常指導している
高校運動部員でオンラインT R に参加し、実施前後の2 回とも測定が実施できた17 名。事
例報告の対象者の特徴:身体的特徴は、身長(170.1±5.3cm)、体重(62.5±11.2kg)で、
県大会出場レベルの競技レベルを有し、日常からウエイトトレーニングを実施している者
である。測定環境:自粛期間の1 ヶ月間に、オンラインT R と自主練習を実施した。内容
は、自粛期間直前に自体重を用いたエクササイズを指導、共通トレーニングプログラムを
実施した。各エクササイズの回数とセット数は、1 分間の最大反復テストの実施後、その半
分の回数を各エクササイズの実施回数として個別に設定、各レップを最大挙上速度による
実施を指示し、それを各3セットとした。実施回数は、週1 回の全体が集まるオンラインT
R と各自の自主トレーニングの機会とした。測定手順及び分析方法:自粛期間の前後にベン
チプレスの30kg とスクワットの60kg のパワー値をGymAware(Kinetic 社製)で測定した。
パワー値の測定後、それぞれ重量を変更して再度実施し、2ポイント法による推定1RM の
算出をした。統計処理は、エクセル2016 を使用し、実施前と実施後に対応のあるt 検定に
て検討、その後効果量を求めた。結果:全ての項目で実施前後の有意差は認められなかっ
た。BP30kg パワー値(d=-0.02)、SQ60kg パワー値(d=0.00)は些少な減少、推定SQ1RM(d=-0.26)
は、小さな減少が認められた。推定BP1RM(d=0.16)は、些少な増加が認められた。考察:
本報告では、上半身のBP30kg パワー値の変化は認められず、BP1RM は些少な増加が認めら
れ、上半身のパワーは維持され、筋力が上がる可能性が示唆された。下半身のSQ60kg パワ
ー値の変化は認められず、SQ1RM は小さな減少が認められたものの、下半身のパワー、筋力
はほぼ維持された。現場への提言:オンラインTR など自体重プログラムでのパワー、筋力
の強化には、部位による負荷をかける方法の工夫が必要と考えられる。