日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第13回日本トレーニング指導学会大会
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口頭発表
マシンショルダープレスにおける可動域の違いが主働筋の筋活動量に及ぼす影響
*菊地 竜太菅野 昌明愛甲 竜雲松村 希良軌島 典広仲 立貴
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p. 15-

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抄録
【現場へのアイデア】スミスマシン・ショルダープレスにおいて、バーベルを肩の高さに構え た姿勢から、肘関節を完全に伸展するまで挙上するフル可動域(Full)とバーベルをアゴの高 さに構えた姿勢から、肘関節が140°伸展するまで挙上するパーシャル可動域(Partial)で、 三角筋中部、僧帽筋上部、上腕三頭筋の筋活動量、および速度、パワー、フォースを比較した。 その結果、三角筋中部と僧帽筋上部についてはFullの方が高値を示した。また、速度、パワー はFullがPartialよりも高値を示したことから、ショルダープレスにおいてはFull条件でのト レーニングが推奨される。 【目的】ショルダープレスは、三角筋、僧帽筋上部、上腕三頭筋などが主働筋となるエクササ イズであり、専門書にはバーベルを肩の高さで構えた姿勢から肘関節が完全伸展するまでバー ベルを頭上に挙上することが示されている。しかし、近年SNSを通じてバーベルをアゴの高さ で構え、挙上時は肘関節を完全伸展させないように行う方が主働筋は常に張力を発揮し続けて いることから、高い効果が得られるといった情報が発信されている。そこで本研究ではスミス マシン・ショルダープレスにおける可動域条件の違いが主働筋の筋活動量、および速度、パワ ー、フォースに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 【方法】レジスタンストレーニング経験を有する男子大学ラグビー選手7名(19.9±1.1歳)を 対象に、スミスマシンで行うショルダープレスをFull、およびPartialそれぞれの最大挙上重 量(1RM)の70%の負荷を用いて、2条件ともに3回行った。挙上動作は最大速度で、下降動作 は2秒で行うように指示した。表面筋電図を用いて、3部位の被験筋の筋活動量を測定し筋活動 量の指標としてRMS%MVCを算出した。また、GymAware(Kinetic Performance社製)を用いて速度、 パワー、フォース(いずれも平均とピーク)を測定した。2条件の比較には対応のあるt 検定 を行った(p < 0.05)。また、サンプル数に影響されない2条件間の差の大きさを比較するた めに効果量(ES)を算出した。 【結果】ショルダープレス1RMは、PartialがFullよりも有意に高かった。三角筋中部、僧帽筋 上部、上腕三頭筋のRMS%MVCは、2条件すべての被験筋で有意差は認められなかったが、三角筋 中部(ES=0.53)と僧帽筋上部(ES=0.50)は、いずれも中程度の差が認められFullの方が高値 を示した。上腕三頭筋の筋活動量は2条件で類似していた。また、平均速度、ピーク速度、平 均パワーはFullがPartialより有意に高値を示した。ピークパワーは有意ではないものの、ES は大きな差が認められFullの方が高かった(ES=0.86)。平均フォースはPartialがFullよりも 有意に高く、ピークフォースについては差が認められなかった。挙上開始から終了までのバー ベルの移動距離(LD)はFullがPartialよりも有意に大きかった。 【考察】本研究では、FullがPartialよりも三角筋中部と僧帽筋上部の筋活動量、および速度や パワーが高値を示した。一方、平均フォースでPartialが高かった要因は、両条件の1RMの有意 差に伴う実験時の負荷が影響を及ぼしていると考えられる。それにもかかわらずピークフォー スは2条件間に差が認められないことから、長期的なフル可動域でのショルダープレストレー ニングは神経・筋機能の優れた適応を引き出す可能性が示唆された。
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