2024 年 4 巻 p. 1-9
【目的】脳卒中者の等尺性脚伸展筋力(以下,脚伸展筋力)と等尺性膝伸展筋力(以下,膝伸展筋力)と歩行自立度との関連を検討し,重度の麻痺を呈する脳卒中者への下肢筋力評価の一助を得ること。
【方法】対象は脚伸展筋力と膝伸展筋力測定が可能な初発の脳卒中者51名とした。筋力測定には牽引式徒手筋力計を使用し,脚伸展筋力測定は背もたれ付きの椅子に深く腰掛けた座位とし,測定下肢を前方に置いた椅子の座面に挙上させ,膝関節屈曲30度位にて施行した。なお,膝伸展筋力測定はベルト固定法にて実施した。歩行自立度評価にはFunctional Ambulation Category(以下,FAC)を用いた。脚伸展筋力と膝伸展筋力の関連および麻痺の重症度を制御変数としたFACと各筋力値の偏相関分析を実施した。
【結果】脚伸展筋力と膝伸展筋力は高い正の相関を認め,偏相関分析にて麻痺側脚伸展筋力および膝伸展筋力がFACと中等度の正の相関を認めた。
【結論】脳卒中者の脚伸展筋力は膝伸展筋力と同程度に歩行自立度を反映することが明らかとなった。