【目的】本研究の目的は,高齢者を対象に斜面板上立位練習(slant-board standing training:以下,SST)を実施し,低い障害物を跨ぎ越える動作への影響を検証することで,地域活動への応用の可能性を探ることであった。
【方法】健康な高齢者10名を対象とした。練習課題では,SSTを1分間実施した条件と,平地での立位練習条件を比較した。障害物を跨ぎ越える動作課題を練習課題の前後に実施し,動作課題では障害物と踵間距離(heel-obstacle distance:以下,HD)とステップ長,およびクリアランスを測定した。さらに,クリアランスの標準偏差(standard deviation:以下,SD)を算出し,ばらつきの指標とした。また,前後・左右方向の足圧中心(center of pressure:以下,COP)変位も評価した。
【結果】SST条件ではHDとステップ長,クリアランスが増加し,SDが減少した。COPは前方へと変位した。
【結論】SSTはHDやステップ長,クリアランスを増加させることが明らかとなり,転倒の予防ためのツールとして地域で活用できる可能性が示唆された。
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