総合理学療法学
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早期公開論文
早期公開論文の7件中1~7を表示しています
  • ―2ステップテストを用いた検討―
    政田 純兵, 石垣 智也
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 2025-005
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/19
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】人工膝関節全置換術後患者の術後早期における2ステップテストの信頼性と歩行能力評価の妥当性を検討し,歩行自立の基準値を見出すこと。

    【方法】人工膝関節全置換術を施行した106名を対象とした。術後1週間後の歩行自立度と身体機能(疼痛と膝関節可動域)を調査し,2ステップテストを含めた歩行能力評価(歩行速度など)を実施した。信頼性は術側と非術側先行の2ステップ値から級内相関係数を求め,系統誤差を検討した。妥当性は2ステップ値と歩行能力,身体機能との相関関係から検討した。ROC曲線から歩行自立を判別する2ステップ値のカットオフ値を同定した。

    【結果】信頼性は良好であり,系統誤差も認めなかった。2ステップ値は身体機能より歩行能力と相関関係が強く,歩行自立のカットオフ値を見出せた。

    【結論】2ステップテストは人工膝関節全置換術後早期の患者でも信頼性と妥当性があり,歩行自立を判別する基準値を有する歩行能力評価である。

  • ~親和動機と健康統制感を用いた移行支援の事例~
    壹岐 伸弥, 石垣 智也, 尾川 達也, 長倉 侑祐, 林田 一輝, 金 起徹, 川口 琢也
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 2025-006
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/19
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【はじめに】通いの場が効果的に機能する要支援高齢者の特徴から,通いの場への適切な移行支援方法について一事例の経過をもとに考察する。

    【事例紹介】腰部脊柱管狭窄症術後に外来リハビリテーションを開始した80歳代前半の女性(要支援2)である。外来そして通所リハビリテーションを経て通いの場(体操教室)へ移行した。事例は他者との接触そのものに肯定的で,他者から注目されることへの動機を示した。健康に対する責任の所在は,自己を意味する内的統制と外的統制である家族で高値を示し,外的統制の専門家と偶然は平均的な値を示した。

    【経過(結果)】通いの場を1年以上に渡り継続利用できた。また,軽強度の身体活動量が増加し,痛みに対する心理的側面の改善を認めた。

    【考察・まとめ】他者との関わりを好み,健康に対して高い自己と適度な専門家へ所在を有する特徴を示す事例は,主体的かつ社会的な行動が求められる通いの場に適応しやすく,親和動機と健康統制感を用いた評価は,その移行を提案するための一助となる可能性がある。

  • 福島 卓
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 2025-007
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/16
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】本研究の目的は,高齢者を対象に斜面板上立位練習(slant-board standing training:以下,SST)を実施し,低い障害物を跨ぎ越える動作への影響を検証することで,地域活動への応用の可能性を探ることであった。

    【方法】健康な高齢者10名を対象とした。練習課題では,SSTを1分間実施した条件と,平地での立位練習条件を比較した。障害物を跨ぎ越える動作課題を練習課題の前後に実施し,動作課題では障害物と踵間距離(heel-obstacle distance:以下,HD)とステップ長,およびクリアランスを測定した。さらに,クリアランスの標準偏差(standard deviation:以下,SD)を算出し,ばらつきの指標とした。また,前後・左右方向の足圧中心(center of pressure:以下,COP)変位も評価した。

    【結果】SST条件ではHDとステップ長,クリアランスが増加し,SDが減少した。COPは前方へと変位した。

    【結論】SSTはHDやステップ長,クリアランスを増加させることが明らかとなり,転倒の予防ためのツールとして地域で活用できる可能性が示唆された。

  • ―介護に求める価値を考慮する重要性―
    池田 勇太, 石垣 智也, 知花 朝恒, 尾川 達也, 平田 康介, 奥埜 博之
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 2025-004
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/08
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【はじめに】主介護者(事例)への介助指導により腰痛緩和が得られたが,介護負担感の軽減には至らなかった事例を経験した。本報告の目的は,身体的負担(腰痛)と介護負担感の変化が乖離する要因を考察し,理学療法士が在宅で介護負担感に介入する際の留意点を検討することである。

    【事例紹介】被介護者は認知症を有する90歳代女性であり,日常生活に全面的な介護を要していた。事例は介護に伴う身体的負担による腰痛があり,高い介護負担感を呈していた。腰痛緩和から介護負担感の軽減を図るために,事例へ環境調整を含む介助指導を行った。

    【経過】結果,腰痛緩和が得られたが介護負担感は著変なく,事例からは介護に対して痛みの軽減より時間的な効率性を優先したい旨が述べられた。

    【考察】理学療法士が在宅で介護負担感の軽減に介入する際,介助技術の獲得を第一選択とするのではなく,主介護者が介護に求める価値を考慮した関わりに留意することが重要と考えられた。

  • ―生体電気インピーダンス分析を用いた検討―
    池田 尚也, 藤井 祐貴, 石井 咲良
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 2025-003
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/02/08
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】脊椎圧迫骨折(Vertebral compression fracture:以下,VCF)患者の脊柱後弯変形と体幹筋量の関連性を明らかにする。

    【方法】118名の女性VCF患者を対象とした。脊柱後弯変形は入院時から退院時(入退院時)のSagittal vertical axis(以下,SVA)変化量を評価した。骨格筋量は骨格筋指数と体幹筋指数の数値を,体組成計を用いて入退院時における変化量を評価した。日常生活動作は入退院時におけるFunctional independence measure(以下,FIM)利得を評価した。脊柱後弯変形に影響する要因の検討は目的変数をSVA変化量,説明変数を骨格筋指数変化量,体幹筋指数変化量,FIM利得とした重回帰分析を実施した。

    【結果】SVA変化量と関連する要因として体幹筋指数変化量とFIM利得が抽出された。

    【結論】女性VCF患者の脊柱後弯変形は体幹筋量変化量とFIM利得が関連していた。

  • 山田 尚幸, 松田 涼, 佐藤 佑太郎, 林 真範
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 2025-002
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/01/09
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【はじめに】歩行自立の阻害因子である重度片麻痺,脳卒中後うつ病,中枢性脳卒中後疼痛,失語症の合併に加え,非麻痺側の変形性膝関節症と肥満を呈した脳卒中片麻痺患者1症例に対する長下肢装具(Knee-Ankle-Foot-Orthosis:以下,KAFO)を使用した装具療法の有用性について検討すること。

    【症例紹介】左中大脳動脈閉塞症を発症した50歳代後半の女性。

    【経過】回復期リハビリテーション病棟でKAFOを使用した立位と歩行練習を主体に実施した。介入は失語症のため簡単な課題を選択し,脳卒中後うつ病と肥満,変形性膝関節症による疼痛を考慮して心理的負担や疲労感,疼痛の状況を確認しながら通常よりも高頻度で休息を取り入れた。中枢性脳卒中後疼痛に対しては事前に触れる部位を知らせて愛護的に介助した。これらの配慮により機能改善が生じ歩行と日常生活活動の介助量軽減に至った。

    【考察・まとめ】合併症などに配慮しながらKAFOを使用した装具療法は歩行と日常生活活動の改善に寄与する可能性が示された。

  • 奥野 友和, 梶原 史恵, 岡原 聡, 海老 耕大, 堀毛 信志, 藤井 萌, 松並 耀平
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 2025-001
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/11/29
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】COVID-19重症者の呼吸機能,身体機能とactivity of daily living(以下,ADL)について発症6か月後,1年後の経過を明らかにすることである。

    【方法】対象は集中治療室から回復期リハビリテーション病棟を経て退院したCOVID-19重症者とした。基本属性と発症6か月後,1年後の呼吸機能,身体機能,ADLについて調査した。

    【結果】対象は13名で発症6か月後から1年後にかけて肺活量,1秒量,Medical Research Council Scoring(MRC Score),握力,膝伸展筋力,6分間歩行距離,The Nagasaki university Respiratory ADL Questionnaire(NRADL)で改善を示した。1年後に在宅酸素療法を要した者は3名,問診にて発症前ADLに回復したと回答した者は5名であった。

    【結論】COVID-19重症者は発症6か月後から1年後にかけても呼吸機能,身体機能,ADLは改善する可能性はあるが,1年後においても発症前ADLに回復しない可能性もある。

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