総合理学療法学
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研究論文
  • ―Neck Disability Indexを用いた検討―
    平野 健太, 網代 広宣, 伊牟田 真樹, 仲島 佑紀
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 3 巻 p. 1-8
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/30
    [早期公開] 公開日: 2023/03/07
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】デスクワークに従事している慢性非特異的頚部痛(以下,CNSNP)患者の能力障害に関連する因子を疼痛関連スコアと頚部機能の観点から多角的に調査した。

    【方法】頚椎疾患の診断を受け理学療法適応となったCNSNP患者50名の横断研究とした。基本属性と背景因子(デスクワーク時間,仕事のやりがい,運動習慣)を収集し,能力障害(Neck Disability Index;以下,NDI),破局的思考(Pain Catastrophizing Scale),運動恐怖感(Tampa Scale for Kinesiophobia-11),疼痛自己効力感(Pain Self Efficacy Questionnaire;以下,PSEQ),抑うつ状態(Patient Health Questionnaire-2),中枢性感作の関連症状(Central Sensitization Inventory-9),頚椎関節可動域を評価した。相関分析にてNDIと有意な関連のあった因子を説明変数とし,能力障害を従属変数とした重回帰分析(強制投入法)を実施した。

    【結果】重回帰分析の結果,PSEQが独立してNDIに関連する因子として抽出された。

    【結論】デスクワークに従事しているCNSNP患者の能力障害を理解する上で,疼痛自己効力感の影響を考慮する必要性が示唆された。

  • 加藤 剛平, 富田 義人, 重國 宏次, 有本 邦洋, 五嶋 裕子, 森本 晃司
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 3 巻 p. 9-17
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/30
    [早期公開] 公開日: 2023/04/18
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】コロナ禍において理学療法士や作業療法士を養成する大学に在籍する医療系(理学療法士・作業療法士)大学生のQuality of Life(以下,QOL)と精神的健康度,及び主観的運動習慣との関連性を検討した。

    【方法】2021年6月から2021年10月までの期間にデータを収集した。153名の医療系(理学療法士・作業療法士)大学生を対象とし,無効回答者6名を除外した147名を分析対象とした。QOL(EuroQOL日本語版),性別,年齢,主観的運動習慣,精神状態(K6日本語版)について質問した。QOLの合計点を従属変数,その他変数を独立変数として探索的に重回帰分析した。統計的有意水準は5%未満とした。

    【結果】低いQOLに女性,K6が15点未満である,運動不足と感じる,外での運動が怖いと感じることが関連した。

    【結論】コロナ禍においてQOLの低い医療系(理学療法士・作業療法士)大学生は精神的健康度が低く,運動不足を感じ,外での運動が怖いと感じる者に多い可能性が示唆された。

症例報告
  • ―短小指屈筋の動態に着目して―
    川上 真由, 永井 教生, 服部 隼人
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 3 巻 p. 19-25
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/30
    [早期公開] 公開日: 2022/09/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】三角骨骨折を受傷し4週間のギプス固定をした後に手関節の尺側部痛および尺骨神経領域の感覚障害を主訴とする症例に対し理学療法を行う機会を得た。超音波画像診断装置(以下,エコー)を用いて,短小指屈筋(flexor digiti minimi brevis:以下,FDM)の動態を明らかにし,効果的な運動療法を行ったことで症状の改善が得られたため,その考察と運動療法について報告する。

    【症例紹介】40歳代男性である。転倒した際,側方のコンクリートに小指球側面を打ち付けて受傷した。

    【経過】主訴は,手関節の尺側部痛および尺骨神経領域の感覚障害であった。Guyon管症候群の検査はいずれも否定的であった。FDMの起始部で圧痛や伸張痛を認め,有鉤骨鉤の尺側でTinel signが得られた。FDMの動態についてエコーを用いて評価したところ,健側ではFDMの最大収縮時にFDMが尺骨神経の表層に乗り上げる動態が確認されたが,患側では移動が少なかった。FDMにおける柔軟性の改善や尺骨神経の滑走を目的に運動療法を行ったところ,疼痛および神経症状が消失した。

    【まとめ】本症例の手関節の尺側部痛および尺骨神経領域の痺れは,筋と神経の滑走不全により誘発されているものであり,FDMの拘縮が尺側部痛に関与していると考えられた。FDMの過敏な伸張痛や可動域制限などの理学所見に加え,FDMと尺骨神経間の滑走性の低下についてエコーを用いて評価したことで効果的な運動操作が決定でき,症状の消失に至った。

  • 工藤 和輝, 二階堂 泰隆, 浦上 英之, 佐浦 隆一
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 3 巻 p. 27-33
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/30
    [早期公開] 公開日: 2023/01/17
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】脳卒中後の姿勢定位障害の1つであるLateropulsion(以下,LP)は,主に前庭機能の障害が関与するとされている。今回LPを認めた症例に対し,前庭リハビリテーションとして,対象者自身が頭部と眼球の運動を行うGaze Stability Exercise(以下,GSE)を試みた。【症例紹介】脳梗塞(左視床・左中脳赤核近傍)を発症した80歳代女性である。初期(発症3–5日目)にはめまい症状があり,Head Impulse Test(以下,HIT)が陽性であった。身体症状としては,右側へのLPを認め(重心動揺計で測定した開脚立位時の左右荷重比[開眼:左38%/右62%,閉眼:左36%/右64%]),Functional Gait Assessment(以下,FGA)は11点と歩行中の動的バランスの低下を認めた。病巣部位と評価結果から,前庭感覚の上行路の損傷による前庭機能の障害が原因と考え,GSEを3日間実施した。【結果】最終(発症11日目)にはめまいが軽減し,HITは陰性となった。さらに,開眼時のみLPが消失し(開眼:左46%/右54%,閉眼:左35%/右65%),FGAスコアが21点と歩行中の動的バランスも改善した。【まとめ】脳卒中後のLPやめまい,動的バランスに対して,GSEが有効である可能性が示唆された。

  • 成田 亜希, 玉城 幸美, 米原 希映, 森田 綾子
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 3 巻 p. 35-40
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】4p‐症候群は希少疾患であり,成長や発達,日常生活能力についての先行研究が少ない。そのため,放課後等デイサービスで介入した4p‐症候群の児童について,療育に関するサポート体制を紹介し,介入後,成長・発達した点,日常生活能力が向上した点について報告する。

    【症例紹介】地域の公立小学校に通学し,放課後等デイサービスを利用している小学5年生の男児を対象に,利用開始時と介入後の生活能力,社会交流,運動機能,言語機能等の比較を行った。

    【経過】コミュニケーションや社会的認知が向上した。

    【考察・まとめ】理学療法士や言語聴覚士は,放課後等デイサービスにおいて,保育士等とともに教育的視点・医療的視点を融合し介入することで,発達促進の一助となることができる。

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