2024 年 4 巻 p. 47-53
【目的】本研究では,上方関節唇損傷(以下,SLAP損傷)を合併した非外傷性腱板断裂患者の肩関節機能の特徴を検討することを目的とした。
【方法】対象は,鏡視下腱板修復術を施行した非外傷性腱板断裂患者55名とし,SLAP損傷合併群とSLAP損傷非合併群の2群に分けた。患者特性ならびに術前の肩関節機能として,痛み,肩関節可動域,日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準,Shoulder36を後方視的に調査し,両群間にて比較した。
【結果】SLAP損傷合併群31肩,SLAP損傷非合併群24肩であった。対象者におけるSLAP損傷の合併率は56%であった。SLAP損傷合併群では,上腕二頭筋長頭腱の扁平化を呈した割合が高く,他動屈曲角度と他動90度外転位外旋角度が有意に高値であった。その他の肩関節機能は両群間で有意な差は認められなかった。
【結論】SLAP損傷を合併した非外傷性腱板断裂患者では,他動屈曲角度と他動90度外転位外旋角度が高値であるという特徴が示され,これらには上腕二頭筋長頭腱の変性が関連している可能性が示唆された。