論文ID: 2024-007
【目的】長下肢装具(Knee-Ankle-Foot Orthosis:以下,KAFO)の有効性は,脳卒中治療ガイドライン2021や理学療法ガイドライン第2版,既存の臨床研究では十分に明らかにされていない。今回,脳卒中患者に対するKAFOの臨床使用におけるスコーピングレビューを実施した。
【方法】データベースは6つ使用し,2022年3月までの研究報告を検索対象とした。脳卒中を対象とした,KAFOの記述があるものを対象とした。無作為化比較試験,非無作為化比較試験などの介入研究や,コホート研究,横断的研究を含む観察研究も含めるよう検討した。
【結果】KAFOを使用した対象者は873名,対象論文は20本であった。使用時期として前期亜急性期の報告が多く,運動麻痺が重度,中等度に対して使用している報告が多かった。前向きコホート研究やランダム化比較試験の報告はなかったが,KAFOの有効性を示した報告は5本あった。
【結論】現時点では,どのような病期や麻痺の重症度に,どの程度KAFOを使用するべきかは不明確という結果となった。