2019 年 10 巻 1 号 p. 1_3-1_9
看護系大学学士課程における薬理学教育は,学修すべき内容に比べて講義の割り当て時間数が少ないこと,学生の病態生理学や臨床的知識が十分でない,低学年時に行われていることなど,様々な問題を抱えている.卒業時学生の薬理学的知識が安全な与薬や薬剤管理にたずさわるためには十分でないという報告は多く,医薬品関連事故増加の原因の一つと考えられる.最近公表された看護学教育モデル・コア・カリキュラムにも薬理学教育の目標が記載されたが,医学教育モデル・コア・カリキュラムと共通点が多く,レベルの高い目標となっている.実際のカリキュラムはこの目標を踏まえ各大学で決定することになっており,教育改革の試みもいくつか報告されているが,前述のように困難な状況下ではまず教育内容を厳選し,すべての教育担当者が可能な限り薬理・薬物療法の教育に時間を割いた上で,各大学で継続可能な教育形態を検討していくことが現実的と思われた.