2020 年 11 巻 1 号 p. 1_19-1_25
食物アレルギーをもつ子どもの親に対する小学校入学に向けた支援を検討するために,親が学校と相談した経験を明らかにすることを目的として調査を行った.対象者は,食物アレルギーのために学校生活において配慮が必要な子ども(小学1年生~3年生)の母親5名であった.母親に対し,小学校入学にあたって学校へ相談した内容とその時期,子どもに向けた関わり,現在の学校生活における学校との連携などについて半構成的面接を行った.
調査の結果,親は説明資料を作成して学校に提示することや,学校関係者に受け入れられるような姿勢で臨むなどの工夫をしながら入学前の相談を進めていた.また子どもに対し,アレルゲンに接触しないことを自覚し,アレルギー症状が出現しないための行動が取れるような働きかけをしていた.学校関係者に子どもの食物アレルギーの状態について理解が得られ,学校の実状に合わせた要望を提示できるような親への支援が必要である.