千葉県立保健医療大学紀要
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令和3年度学長裁量研究抄録
介護予防のための生活習慣継続をめざした多職種連携プログラム(新・ほい大健康プログラム)の評価
大川 由一細山田 康恵麻生 智子大内 美穂子室井 大佑松尾 真輔佐久間 貴士細谷 紀子佐伯 恭子成 玉恵河野 公子麻賀 多美代岡村 太郎成田 悠哉
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2023 年 14 巻 1 号 p. 1_102

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抄録

(緒言)

 2020年現在,千葉県の総人口に占める高齢者の比率は27.0%であるが,2020年から2040年までの75歳以上高齢者人口の増加数は全国第6位となることが見込まれている.生涯現役社会を実現するために,千葉県独自の「介護予防活動普及展開事業」の実践は,住民および医療従事者において喫緊の課題である.本研究は,「介護予防」に焦点化して作成した「新・ほい大健康プログラム」を実施し,地域住民が介護予防のための生活習慣を獲得,継続することをめざした多職種連携プログラムの評価を目的とした.

(研究方法)

 対象は千葉市内UR真砂第一団地において「新・ほい大健康プログラム」の案内チラシを見て自発的にプログラム参加を申し出て,かつ研究協力に同意した者とした.当初の計画では2021年9月4日,10月2日,10月30日に,①質問紙法による介護予防度,生活習慣改善の継続状況,プログラム評価(満足度,理解度,生活習慣改善の実践・継続の程度),②身体計測,③生活習慣改善の実践や継続状況とプログラム評価の実施を予定していたが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかわる緊急事態宣言の発出ならびに本学の活動指針「警戒レベル4」の状況により中止となった.その後,緊急事態宣言の解除ならびに警戒レベルの緩和により,11月13日に地域住民を対象に代替プログラムによる運動指導と保健指導を実施した.プログラム終了後に参加者から感想を聴取した.

(結果)

 代替プログラムは,住民7名(男性2名,女性5名)を対象に実施した.はじめに「今あるあなたの力を保ち育てるために(看護プログラム)」というテーマでロコモシンドローム予防のための運動指導とCOVID-19感染予防対策のための保健指導を行った.運動指導では,片脚立ち,スクワット,骨盤底筋運動,腹部脂肪減少運動を実践した.また,感染予防対策として,体温の測り方と正しい手洗いの方法について指導を行った.次に,「コロナ禍で大切にしたいお口の健康(歯科衛生プログラム)」として誤嚥性肺炎やオーラルフレイル予防について実技とともに保健指導を実施した.主な内容は,マスク着用によるお口の変化,歯磨きの方法,舌の清掃,入れ歯の清掃,お口の機能を守るトレーニング,活舌をよくするトレーニングであった.プログラム実施後の感想では,「学生さんに参加していただきたい(理由:孫と同じ世代と話しがしたい)」「歯科衛生と看護のプログラムでしたので,女性の方から栄養についてもお話ししていただきたい(理由:高齢男性は,自炊ではなく惣菜の購入が多いため,注意してほしい.また,学生さんの参加があれば,プログラムに誘いやすい)」,「プログラム内容に関しては,満足度が高く,参加して良かった」などの意見があった.

(考察)

 「介護予防」に焦点化した「新・ほい大健康プログラム」は,地域住民の生活習慣の改善のみならず,健康に関する意識の向上,住民同士のネットワーク構築や街づくりにも波及することをめざしており,継続的に実施することで,そのための基礎資料を提示できるものと考えている.

(倫理規定)

 本研究は,千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2021-07).

(利益相反)

 本研究における開示すべきCOI 関係にある企業等はない.

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