千葉県立保健医療大学紀要
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健康福祉部との意見交換会報告
令和5年度保健医療大学取組報告会
―保健・医療・福祉の連携拠点として―
河部 房子大川 由一平岡 真実室井 大佑酒巻 裕之有川 真弓岡村 太郎佐藤 紀子龍野 一郎
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2024 年 15 巻 1 号 p. 1_67

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抄録

はじめに

 毎年開催している取組報告会は,今年で第4回目となる.保健・医療・福祉の連携拠点として位置づけられている本学の機能のさらなる発揮に向け,本学の取組を報告し,県の健康政策担当者との意見交換を行った.以下に概要を報告する.

報告会の概要

日時:2023年11月2日(木)11:00~12:00

会場:県庁本庁舎1階 多目的ホール

出席者:健康福祉部14名(高梨健康福祉部長,鈴木保健医療担当部長,野澤次長,舘岡次長,健康福祉政策課2名,疾病対策課1名,高齢者福祉課2名,障害福祉事業課1名,医療整備課3名)保健医療大学14名(龍野学長,大川副学長,佐藤学部長他11名)

報告内容

1.大学の概要およびこれまでの取組と成果

 将来構想検討委員長 河部房子

 自己点検評価委員長 平岡真実

 今年度の本学の取組について,「人材育成」「シンクタンク機能」「地域貢献」の観点から,令和4年度の実績および5年度の取組状況を報告した.また,教育活動の成果として,開学後初めて実施した卒業生調査の結果について中間報告を行った.

2.主な取組の紹介

⑴ 研究的取組

 リハビリテーション学科理学療法学専攻 室井大佑

 昨年度から継続して行っている「新型コロナウィルスが千葉県の高齢者に与えた影響」について,新たな調査結果について報告した.

⑵ 専門職の質向上をはかる取組

 看護学科 河部房子,歯科衛生学科 酒巻裕之,

 リハビリテーション学科作業療法学専攻 有川真弓

 様々な保健医療専門職の実践の質向上につながる取組として,大学独自で取り組んでいる研修,県の関係機関との協働で取り組んでいる研修,職能団体との協働で取り組んでいる研修,それぞれについてその概要と成果を報告した.

今後に向けた意見交換(抜粋)

1.卒業生調査について

・調査の周知や説明をどのように行ったのか.

⇒本学の倫理委員会で調査の目的や方法など審議したうえで,卒業生に依頼した.卒業生への依頼については,本学の同窓会組織を通じて連絡した.

2.「新型コロナウィルスが千葉県の高齢者に与えた影響」調査について

・5類移行後の行政への要望について,具体的に聞いていたら教えていただきたい.

⇒高齢者施設では5類に移行しても感染対策は変更できないため,費用は同じようにかかる.5類移行後は補助金が削減されたが,施設としては出費が変わらないという切実な意見があった.

・いすみ市と連携して特定健診・後期健診の結果についてのデータ収集を行っているが,何年分の結果になるのか.また,今後の検証の方向性について教えていただきたい.

⇒いすみ市のデータは5年分であり,コロナ前後で比較ができると考えている.介護保険データに関しては共有が難しいということであった.今後は,健康・健診データを解析し,レセプトデータなどとの関連について分析できればと考えている.

・施設別コロナによる施設職員への影響に関して,離職率の抑制と補助金との関連について教えていただきたい.施設職員の専門技術のレベルについて,結果の背景要因について教えていただきたい.

⇒施設ごとに差があったのが心理的負担と離職率だった.クラスターが発生した施設とそうでない施設を比較したところ,離職率に差が見られた.

⇒専門技術レベルに関してはコロナの影響で,ほとんど研修会が中止となり,またオンライン研修での実技研修は難しく,多くの施設が影響を受けた.

3.作業療法士の連携取組について

・千葉リハビリセンターとの連携もあるのか.また,地域リハの展開について,現在の状況はどうか.

⇒職能団体に本学作業療法学専攻教員と県リハ職員が所属しているため,協働して県内専門職へのリカレント教育を検討している.地域リハの展開という点では,職能団体の中に地域連携部があり,情報共有を行っている段階である.

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