養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議(中央教育審議会初等中等教育局長が開催決定)は,2023年1月17日に「議論の取りまとめ」を公表し,栄養教諭の課題を整理している.そこでは,栄養教諭は食に関する健康課題のある児童生徒等への個別的な相談指導ができていない,また,栄養教諭自身の業務に対する自覚が十分に進んでいない,と指摘している.これらは厳しい批判ではあるが,栄養教諭でなければ実施できない業務についての重要な指摘であり,大学の栄養教諭養成制度を見直す契機と捉えることができる.そのため本稿では,現行の教育職員免許法及び同法施行規則を検討し,栄養教諭養成制度改革の基礎資料を提供することを目的とした.その結果,現行の法制度は,個別指導を十分こなせる力を育成するものとなっていないことを指摘した.その上で,個別指導力を十分育成するため,とりわけ二種免許状の課程や認定講習においてはカリキュラムを増やし,所要事項として個別指導を盛り込む必要があること,一種免許状の基礎資格は管理栄養士に引き上げることを提案した.