2025 年 16 巻 1 号 p. 1_139-1_146
本研究の目的は,自閉症スペクトラム(ASD)と診断された小児の睡眠障害への非薬物的介入に関する効果を把握することであった.
国内文献の検索誌は,医学中央雑誌Web版を用いて「自閉スペクトラム症」「睡眠」をキーワードとした.海外文献の検索は,PubMed,CINAHLを用いて「Autism Spectrum Disorder」「sleep」をキーワードとした.選定した6件の対象文献を「養育者による行動介入」「物理的介入」「感覚に基づく介入」に分類した.
「養育者による行動介入」では,就寝時フェーディングとポジティブルーティンの実施の効果が報告されていた.「物理的介入」では,音楽や振動による刺激により夜間覚醒の減少や睡眠時間の増加が報告されていた.加重布団を用いた「感覚に基づく介入」による明確な効果は示されていなかった.ASD児の睡眠障害に対する介入方法は十分に検討されていない.ASD児の個別性や家庭での睡眠環境に応じた介入方法の組み合わせによる援助を検討する必要がある.